【英語テクニカルライティング講座#4 動詞の活用で力強い英文にしよう】
突然ですが、Tak石河の嫁さんは数学教師です。
Tak石河
そうなんですね。そんな情報、誰も興味ないですし題材と関係ないですけど?
綾香さん
ひどい(笑)
では、「彼女は数学教師です。」を英訳できますか?
Tak石河
さすがにそれは俺でもできますよ。
She is a mathematics teacher.
ですよね?
洋平さん
その通りです!合ってますよ。ただ、こんな表現もできます(こちらの表現の方が英語的にはよく聞く表現)。
She teaches mathematics.
Tak石河
言われてみればなるほど…ですけど、シンプルなのに意外と思いつかないですね。
洋平さん
では、もう1つ例を挙げてみましょう。
Tak石河
(英訳を考えてみよう!)
彼は高校生だ。
これも簡単だと思います…
He is a high school student.
ですよね。
洋平さん
それで合ってるよ!でも、もうちょっと視点を変えると…
He goes to high school.
(彼は高校に通っている。→彼は高校生だ。)
とも表現できるよ!
アメリカ人同僚 盟友Liam
日本語は状況描写が得意、英語は動作描写が得意
さて、冒頭のであげた例で書いたけど、日本語は「~(で)ある」「~いる」という状況描写が得意なのに対して、英語は「~する」という動作描写が得意な言語なんだ。逆に言うと、「人でも物でも、何かが活き活きと動作している状態」を思い描くのがコツだね!
アメリカ人同僚 盟友Liam
では、具体的に、動詞を上手く活用して、生き生きとした動作描写の例を見てみましょう!
Tak石河
英語らしい動作描写のコツー他動詞の活用
動詞は他動詞と自動詞の2つがありますが、個人的には慣れていないうちは他動詞から練習していくのがおすすめです。
Tak石河
隠れた動詞を見つける
動詞が隠れているって、どういうことですか?
洋平さん
例を見てみましょう。
Tak石河
観光庁は外国人旅行者の調査を行った。
(訳例)The Japan Tourism Agency conducted a survey of foreign travelers.
ええと…何も間違っていないと思うんですが…。
洋平さん
conducted a survey ofのあたりが、何か長ったらしい感じがしますね。
綾香さん
そうだね。ここでは、conducted a survey of(調査を実施する)ではconduct(実施する)というあまり重要ではない動詞の影に、survey(調査する)という動詞が隠れてしまっているね。surveyを動詞として活用すると、以下のようになる。
アメリカ人同僚 盟友Liam
観光庁は外国人旅行者の調査を行った。
The Japan Tourism Agency surveyed foreign travelers.
短くて、力強い英語表現になりました。
もう1問やってみましょう。
Tak石河
技術チームはシステムの問題の分析を行い、解決策を見出した。
(訳例)The technical team performed an analysis of the system problem and found a solution.
どう書き換えればいいかがパッと思いつかないんですけど…
何となく、performed an analysis ofの所は長ったらしいなあ…という感じがしますね。洋平さん
そうですね!その「この表現、長ったらしくない…?」そういう感覚が大事ですね!
Tak石河
ここは、分析した(analyzed)、解決した(solved)と端的に言ってしまえばいいですね。
綾香さん
技術チームはシステムの問題の分析を行い、解決策を見出した。
The technical team analyzed and solved the system problem.
主語の設定―無生物主語の活用
次のコツとしては、主語の設定を見直すというものです。多くの場合、物を主語―つまり、無生物主語構文を用いると、うまく動詞を活用できる場合が多いです。
Tak石河
無生物主語については、以下の記事も読んでみてね!
アメリカ人同僚 盟友Liam
では、以下の例を見てみましょう。
Tak石河
There are many award-winning works in the museum.
ええと…これは、元の日本語文には主語がないんじゃないでしょうか…。
洋平さん
それは、主語は人…って思っちゃっているからじゃないかしら?
ここでは、美術館、は、英語での無生物主語になりますよね?
綾香さん
あ…なるほど!
洋平さん
その美術館には、数多くの受賞作品があります。
The museum has many award-wining works.
have(ここでは三人称でhas)を使えばできるんですね!
洋平さん
ちなみに、ここではどういう動詞を持ってくるかは、腕の見せ所です。例えば、offerを使ってみましょう。
Tak石河
その美術館には、数多くの受賞作品があります。
The museum offers many award-wining works.
offerにすると、「美術館が、お客様に受賞作品を提供する」という、主催者側の意識が伝わってきますね。
Tak石河
他にも、工夫して、featureもいけるね。
アメリカ人同僚 盟友Liam
その美術館には、数多くの受賞作品があります。
The museum features many award-wining works.
「(受賞作品を)が目玉です!是非見て下さい!」といった紹介している感じですね。
Tak石河
boastも使えるのかしら?
綾香さん
その美術館には、数多くの受賞作品があります。
The museum boasts many award-wining works.
使えるね!「この美術館が誇る…」と、かなり強調した表現になるね。
アメリカ人同僚 盟友Liam
ちなみにこのboastという表現、時々、「過剰に自慢している」ようなネガティブな意味合いを持たれている方がいるんですけど、実際はそうではないですよ。自慢する…の言いもあるんですが、上の英文のように、何か長所や達成したことがある時に、自然に使えます。
個人的には、無生物主語と一緒に使うと、物(無生物)は別に偉そうに自慢しないので、自然と使えることが多いように思います。参考にされて下さい!Tak石河
英語らしい動作描写のコツー自動詞の活用
次は、自動詞を使った場合です。自動詞は、目的語を必要とせず、それだけで意味を成す動詞です。
他動詞と比べて、自動詞の方が、使いこなすには経験がいりますが、これを使いこなすとかなり英語の表現力が広がるので、是非チャレンジされてみて下さい。
Tak石河
では、例を挙げてみよう。
アメリカ人同僚 盟友Liam
む、難しい…。どこでどう自動詞を活用すればいいのか、全然分からないです…。
洋平さん
パソコンに関して言えば、品質が良いものを買えば損しません。
(訳例)
Speaking about personal computers, if you buy high-quality ones, you will get your money’s worth.
いえ、でも上の英訳で意味は通じますよ。
ここでは、自動詞payを使うと、こんなに簡単に表現できるということを知っておくと良いですね。
Tak石河
パソコンに関して言えば、品質が良いものを買えば損しません。
Quality pays when it comes to personal computers.
ここで、pay(自動詞)は、「割に合う、得する」という意味になるね。
アメリカ人同僚 盟友Liam
な、なるほど…。これは、知っていないとできないですね…!!
洋平さん
動詞の活用、特に自動詞を上手く活用するには、語彙力も経験も必要ですね。
Tak石河
では、次の例を見てみよう。
アメリカ人同僚 盟友Liam
ボッタクリなのでそのお店を訴えましょう。
綾香さん
ボッタクリかは別として、英文として考えて下さいね。
Tak石河
うーん…普通にこれでいいと思うんですけど…。
洋平さん
このデジタルカメラの小売価格は100万円です。
The retail price of this camera is one million yen.
もちろん、正解だよ!ただ、ここでは、次のような表現もできることを是非知ってほしい。
アメリカ人同僚 盟友Liam
このデジタルカメラの小売価格は100万円です。
This digital camera retails for one million yen.
なるほと…。retailを自動詞「(商品が)小売りされる」として用いるんですね!
洋平さん
そうですね。他は、今回はちょっと意味がズレるんですが、カタログ上の価格という場合は、listを自動詞「(商品が~で)カタログに出ている」として用いることもできます。
Tak石河
このデジタルカメラのカタログ価格は100万円です。
This digital camera lists at one million yen.
発想次第で、色んな動詞を活用することができるのですね。
綾香さん
次の例を見てみよう。次は、表現として問題はないんだけど、自動詞を使って活用できるという練習例だね。
アメリカ人同僚 盟友Liam
当テクニカルライティングコースは、基礎、中級、上級の3つのカテゴリーに分類されています。
The technical writing course materials are classified into three categories: basic, intermediate, and advanced.
これは、自動詞としてfall(分類される)を活用することができますね。レパートリーに是非、加えてみて下さい。
Tak石河
当テクニカルライティングコースは、基礎、中級、上級の3つのカテゴリーに分類されています。
The technical writing course materials fall into three categories: basic, intermediate, and advanced.
次の例を見てみよう。
アメリカ人同僚 盟友Liam
委員会は明日開催されます。
The committee will be held on tomorrow.
あれ…?これもこのままで別に問題ないですよね?
綾香さん
はい、これも普通に良く使う表現ですね(笑)
でも、ここでも、meetという自動詞が使える、ということを知っておいてもらえると、またレパートリーが広がります。
Tak石河
委員会は明日開催されます。
The committee will meet on tomorrow.
ちょっとしたことだけど、自動詞の使用によって、元々受動態であった文章が、能動態に変換できるメリットは見逃せない所だね。
アメリカ人同僚 盟友Liam
如何だったでしょうか?
動詞を活用することは、簡単そうに見えて実はなかなか難しいです。
是非、「動詞を使って文章を活き活きと表現できないか?」を日頃から意識してみて下さいね!