【洋書レビュー(11) THE ELEMENTS OF STYLE (STRUNK AND WHITE) -数十年の時を経た師弟による共著、100年後も色あせぬ不朽の名著】
数十年の時を経て、お互い知らないうちに、師弟による共著が行われていたなんて、何だか本当に素敵な話ね! Diana
THE ELEMENTS OF STYLE (STRUNK AND WHITE) FOURTH EDITIONの総評
お勧め度
★★★★★(★5つ、英語のライティングに関わる人、また英語に興味のある人全てにおすすめ!)
おすすめする読者層
Lv.2 初心者~Lv.5 最上級者
分野
ライティング全般
Tak石河レビュー
この本は、内容はおもちろん面白いのですが、著者の遍歴が興味深いです。William Strunk氏とE.B.White氏がどうやってこの本を共著するにいたったのかを見てみましょう! Tak石河
Will Strunk and E. B. White were unique collaborators. They worked separately and decades apart.
(Will Strunk と E. B. Whiteは、他に類を見ない共著者である。彼から別々に、数十年もの時を挟んで執筆した。)
We have no way of knowing whether Professor Strunk took particular notice of Elwyn Brooks White, a student of his at Cornell University in 1919. Neither teacher nor pupil could have realized that their names would be linked as they are. Nor could they have imagined that thirty-eight years after they met, White would take this little gem of a textbook that Strunk had written for his students, polish it, expand it, and transform it into a classic.
(Strunk教授が、1919年にコーネル大学で彼の生徒であったElwyn Brooksのことを特に気に留めていたかどうか、私たちは知る由もない。いや、この先生と生徒自身も、自分たちの名前がこの本で結び付けられるとは思いもしなかっただろう。さらに、38年間の時を経て二人が再会し、Strunk博士が生徒のために書いたこの小さな、貴重なテキスト(※Tak石河注釈:Strunk教授が書いた、THE ELEMENTS OF STYLEの初版のこと)を、Whiteが磨きをかけ、加筆し、最高傑作へと姿を変えるとは、夢にも思わなかっただろう。)
ここ、解説しておくと、1919年にこの本の元々の原本が、Will Strunk氏からコーネル大学の教え子向けに出版したんですよね。その時には、E. B. Whiteは教え子の一人であって、執筆には加わっていません。 Tak石河
それから38年後、1957年に、元教え子のE. B. Whiteが、この本の内容を追加・修正・更新したと言われている。ちなみに、Strunk先生は1946年に亡くなっているんだ。 アメリカ人同僚 盟友Liam
つまり、この2名は、一応お互いのことは知っていた(はず)のものの、実際に同時に著作したことはないんですよね。 Tak石河
時を超えて、師弟による共著が行われたなんて、とてもロマンチックな話ね! Diana
そしてなんとこの本では、第1版は著作権が切れていて、ここ(パブリックドメインに移動します)から無料で読めます! Tak石河
名著が一般に公開されるのは、とても嬉しいことね! Diana
さて、前置きが長くなりましたが、内容をピックアップしていきましょう。 Tak石河
‘THE ELEMENTS OF STYLE’ここが見どころ!
前述の通りライティングの本だね。この本はとてもシンプル・コンパクトにまとまっていて、幅広い英語力の読者層に対応している。記述そのものが分かりやすいから、とても読みやすいよ! アメリカ人同僚 盟友Liam
先日レビューした下記の洋書が難しい!という場合は、こちらの本から入るのはおすすめですね。 Tak石河
ざっくりと書くと、英文ライティング全般の基礎が学べるわ! Diana
THE ELEMENTS OF STYLE 内容概要
用法の基本原則
文章構成の原則
よくある間違い集
とても一つ一つ全部は紹介しきれませんが、これらのキーワードにビビッときた方は、是非読んでみてくださいね。きっと、収穫があること間違いないと思います! Tak石河
繰り返しになるけど、第1版はここ(パブリックドメインに移行するね!)から無料で読むことができるわ! Diana
さてここからは、個人的に「単語・表現でよくある間違い」が、「あ、確かにビジネスプレミアムコンサルティングの中でもよくある!」というものがいくつかあったので、厳選してご紹介します!(原著にはもっと数多くの「間違いやすい表現」が紹介されています!) Tak石河
ちなみに、言葉も使われ方・意味が時を経て変わっていくから、この本に書かれている原則と、今は実際にどう使われているのか?の違いも、是非参考にしてね! アメリカ人同僚 盟友Liam
Pick up! ~よくある間違い集~
Claim(「主張する」という意味の動詞として使用する場合)
目的語名詞伴った場合、lay claim to(主張する)という意味になる。この意味を明確に含んでいるならば、従属節と共に使ってもよい:”He claimed that he was the sole surviving heir.”(彼は、自分がたった一人の生き残った相続人だったと主張した)(ただしここでさえ、”claimed to be”(であると主張)のほうが望ましいであろう。)claimは、declare, maintain,またはchargeの代替として使われるべきものではない。
これはよくある!Claimには動詞で主張する、という意味は一応あるんですが、結論から言って、この意味で使わないのが無難ですね。 Tak石河
本に記述されている通り、declare, maintain, charge等を使うのがいいだろうね。 アメリカ人同僚 盟友Liam
さらに、Claimは、日本語の「クレーム」と誤用されるケースが非常に多いですね。日本語のクレームは、ほぼ100%といってよいくらい、complaint(s)が正しい英訳です。 Tak石河
クレームについては、以下の記事を参考にしてみてね! アメリカ人同僚 盟友Liam
Most
Not to be used for almost in formal composition.
Most(ほとんどの)
正式な文体で、almost(ほぼ)という意味で使ってはならない。
✖most everybody → 〇almost everybody(ほとんど全員)
✖most all the time → 〇almost all the time(ほとんど全ての時間)
これは多い気がするわ。気を付けないとついやっちゃいそうな間違いよね。 Diana
almostとmostの誤用は、以下の記事でも書いてあるから、参考にしてみてね! アメリカ人同僚 盟友Liam
Literal. Literally.
Often incorrectly used in support of exaggeration or violent metaphor.
Literal. Literally.(文字通り)
誇張しようとして、または暴力的な暗喩をしようとして、しばしば誤って用いられる。
✖a literal flood of abuse(文字どおり、罵詈雑言の洪水) → 〇a flood of abuse(洪水のような罵詈雑言)
✖literally dead with fatigue (文字どおり疲労で死んだようになって)→ 〇almost dead with fatigue(疲労でほとんど死んだようになって(死ぬほど疲れて))
これは、literal, literallyは、元々は、「文字通り」という意味で使われていたんだ。だから、
‘I work for the shady company literally 24/7.’というと、「私はそのブラック企業で、文字通り不眠不休で―24時間365日休み無しに―働いている」というのが元々の意味になるんだ。
アメリカ人同僚 盟友Liam
でも、実際には人間なのでまーったく一睡もせず、一生うち1日も休みなく働いている…というのは考えづらいですよね?(※注 もしそのような状況下の方がおられたら、ごめんなさい、その時は上記の訳で合っています汗)なので、「ブラック企業で馬車馬のように働いている」といった、強調の意味になります。 Tak石河
literal, literallyの強調は、今では当たり前のように聞くから、Will Strunk先生の時代からは意味が変わってきているのね。 Diana
Currently
In the sense of now with a verb in the present tense, currently is usually redundant; emphasis is better achieved through a more precise reference to time.
now(今)という意味で、動詞とともに現在形で使われる場合、currentlyは通常、冗長である。Time(時間)により正確に言及することで、より効果的に強調できる。
△We are currently reviewing your application.
→〇We are at this moment reviewing your application.(我々は、今の所、貴方の応募を再検討している所です。)
内定プリーズ!御社が最後の砦なんだ! こっそり転職活動中の浅田さん
We are at this moment reviewing your job application.(我々は、今の所、貴方の応募を再検討している所です。くっくっく、まあお断りだがな…) 腹黒い面接官Ben
あ、浅田さん今日初めて記事に出て来たわね。 Diana
この洋書レビューコーナーでは、記事が真面目にならざるを得なくて、浅田さんの出番は基本的に無いんですよ。 Tak石河
Allude
Do not confuse with elude. You allude to a book; you elude a pursuer. Note, too, that allude is not synonymous with refer. An allusion is an indirect mention, a reference is a specific one.
allude(自動詞:それとなく言う、暗に示す)
elude(他動詞:①~から逃れる、②思い出せない)と混同しないこと。「本についてallude(暗に示す)」のに対して、「pursuer(追跡者)からelude(逃れる)」のである。alludeはreferの同意語ではないことにも留意すること。allusion(言及、ほのめかし)は間接的な言及であるのに対して、a reference(参照)は特定の一つを指す。
alludeは、formalな単語なのであまり会話では出てこない表現ですね。 Tak石河
スペリングが似ているから、alludeとeludeの誤用は多いんだろうね。また、alludeとreferの違いについても勉強になる。 アメリカ人同僚 盟友Liam
Thanking you in advance.(Thank you in advance.)
This sounds as if the writer meant, “It will not be worth my while to write to you again.”
(「貴方に(文書を)もう一度書く価値なんてありません」と、書き手が意味しているように聞こえる)
これを見たときは、「え、そこまで悪意を持って受け取られるの?」と驚きましたね(汗) Tak石河
これは一見分かりにくいんだけど、要はThanking you in advance.(Thank you in advance.)という表現は押しつけがましく聞こえるんだと思う。‘I expect you to do this without additional favor.’(またお願いしなくても、(当然)やってくれるでしょ?)みたいな。 アメリカ人同僚 盟友Liam
もちろん文脈にもよるんですが、個人的にはこの表現、日本人の英文メールの中にはよく見受けられるので、使用には注意が必要ですね(汗) Tak石河
詳しくは、こちらの記事を読んでみてね! Diana
Than
Any sentence with than ( to express comparison) should be examined to make sure no essential words are missing.
I’m probably closer to my mother than my father.(Ambiguous)
(私は父親よりも母親に似ている[意味が不明瞭])
(1) I’m probably closer to my mother than to my father.
(私は多分、母親よりも、父親に似ている)
―比較対象は、「私が母親に似ている」<「私が父親に似ている」
(2) I’m probably closer to my mother than my father is.
→I’m probably closer to my mother than my father is (closer to his mother、が略されている).
(父親が(父親の)母親(:つまり、私から見て祖母)に似ているよりも、私は(私の)母親に似ている)
―比較対象は、「父親が祖母に似ている」<「私が母親に似ている」
これは、以前記事でも取り扱いましたが、英語は比較にうるさいというやつですね。 Tak石河
話し言葉だと、’I’m probably closer to my mother than my father.’で、「ああ、この人は母親似なんだな」って大体わかるし、ここまで厳密ではないんだけどね。書き言葉では、意味がちゃんとわかるようにしっかりと比較対象を書いておこう! アメリカ人同僚 盟友Liam
Tortuous. Torturous
A winding road is tortuous, a painful ordeal is torturous. Both words carry the idea of “twist”, the twist having been a form of torture.
曲がりくねった道がtortuousであり、痛々しい試練がtorturousである。いずれの単語も、”twist”(ひねくれた)という概念を有しており、この「ひねくれた」が、torture(歪曲・ひどい苦痛・拷問)という言葉を形成した。
最後、おまけですが、個人的に非常に謎な箇所なんです Tak石河
どうして?Will Strunk先生の記述は正しいと思うけど…。 Diana
内容は賛成なんですが、個人的に気になるのは、tortuous(曲がりくねった道)とtorture(拷問)を一緒に使って、混同するような文脈があるのか?ということなんですよ。 Tak石河
きっと、Will Strunk先生と弟子のE. B. White氏は、師弟の一線を越えて、曲がりくねった道で拷問系SMプレイを嗜む仲だったのよ!で、拷問系SMプレイの報告書を提出させた時に、tortuous(曲がりくねった道)とtorture(拷問)を間違って使ったから、Will Strunk先生はさらに起こって二人は禁断の深いSMプレイに突入(※以下自主規制) Diana
ああっ…!!折角真面目な読者層のアクセスを集めようと(久しぶりに)4,000字以上の記事を書いたのに、最後の最後でぶち壊しになってしまった…(泣) Tak石河
…こういう考え方の人のことを、Will Strunk先生は“twisted”(ひねくれ者)って言うんだろうな(ぼそ)。 Manager Ben
そうでしょうね(小声)。 Tak石河
何か言ったかしら? Diana